「異形の季節」


髪を肩の上で切った
さらさらと春の風に遊ぶように
前髪はまゆの5ミリ上
広い空が見えるように


あらゆるものが芽吹き始める
一週間で空の色は変わっている
恋に似た気持ちを
だれかに向けてみたい


見馴れたはずの月も
ふいを突かれた時は
なぜ、いつも新鮮なのだろう
はっとするほど


秩序から無秩序へ
世界はバラバラにほどけてゆく
そう思っていたけれど


でたらめのパーツでも
ポケットににぎりしめて
修復するために出かける
新しい人にパーツを渡す


偉大な魂のことを思う
さすらいの旅の果てに
人々の喜びと苦しみに出会い
こころの水脈にたどり着いた人


でたらめのパーツをくっつけて
ゆがんだフレームでも気にしない
わたしは世界を修復する
何度でもあきらめずに、新鮮に


春は異形の季節なのだから
恐れることはない
もう何も