こうもりだこ通信

詩歌を作っている岡本はなと申します。「短歌人」所属。ロックンロール、沖縄民謡愛好家。BOOMER歴24年です。

自由詩

如月小曲(二)

寒さのあまりか

蛍光灯は 

突然昏く

明滅し止らず

不安の厨房

人もまた

このように

いきなり壊れるものかと

戦くほどなく

新しいものと替えられ

明々と眩いばかり

人もまた、と

安堵などして

如月小曲(一)

「如月小曲」


 一、


土温み 春の兆し

ある人は もぐら塚を見たという

堤防のふもと 

見る間に盛り上がる 土が走る

人の圧力をかいくぐり

曇天の 早わざ

もぐら 止まるなよ


連詩サイトに投稿した詩・5

永井ますみさんのサイト「山の街から」の連詩コーナーに投稿した詩。

「山の街から」

http://homepage3.nifty.com/yamanomati/



43.幼児虐待(はなびーる)
あわわ、あわわ。泣きやまぬ赤子の口を、塞いでは開く、手のひら。このまま、塞ぎつづけたら・・・ずきん、胸が波うち、よぎる、「ぎゃ・く・た・い」の不穏なひらがな。のびやかに、と願いながら、ささくれた心。あわわ、あわわ。ひらひらおどける手のひら。母親を信じきった、つぶらな瞳の微笑み。


44.人間(はなびーる)
俺は万国博覧会のとき生まれて、TAROさんが「太陽の塔」って名づけた。最初は広場の屋根があって子供の声とかで周りはにぎやかだったが、今じゃ一人で野っ原に立ってる。俺の中には、太古から人間までの歴史を表わす血管ぽい木があって、サーカスみたいに昔の生きもんがくっついてる。俺の金ぴかの顔は作り物で、実は何も見えてない。俺のいる場所が夢の跡か、夢の始まりかは、これからの人間が決めることさ。


45.金(はなびーる)
明日は遠足。百円までだよ、念押され駄菓子屋へ走る子供。小さな籠に色とりどりのお菓子を入れる。オレンジのガムが欲しくて悩む。「おばちゃん、これ、買えるよね」「はいよ、しめて百円」交わす笑顔。握りしめた汗でピカピカの、宝物の硬貨。街に子供がいるかぎり、おばちゃんは店を続ける。


46.戦争(はなびーる)
ばあちゃんは戦争未亡人で、苛められてひねくれてしまった。北の部屋から、孫たちに暗い顔で小言ばかり。戦争は知らないけど、戦争の影は、濃く長く家を覆った。鳥になったばあちゃん、今頃はもう、おじいさんを見つけましたか。もう悲しくないよね。南の島で、入道雲と好きな人と、楽しく暮らしているよね。


47.挽歌(はなびーる)
よそ見していて、横面を張り倒された、罪の水に拉がれ、亀は太陽に赦しを乞う、悲しみと怒りは膨れ、フィルターを越えていや増し、線量計のノイズと、高く!唱和する! ・・・山川草木悉皆成仏、あらゆるものの痛みを悼み・・・枯れるな、歌よ。枯れるな、言葉よ。


48..東京(はなびーる)
「生き馬の目を抜くところよ。」知ったかぶりで息子に話した。都会の巨きさに戸惑い、愉しげなノイズに魅かれ、歩き疲れて見上げた東京タワー。暮れ残る夕日のような灯りは「おかえり、どうだったね。」と抱きとめてくれた。今ではあの子の住む町、夢を羽ばたかせる町。T・O・K・I・O 、ときめきは色褪せない。


50.たんぽぽ(はなびーる)
故郷という言葉があなたに似合った。夜明け前から田畑で働き、家族の世話に心をくだき、手作りのもてなしで客を迎えた。旅をしない人だと思っていた。けれど、かつて子供たちを入れて散歩した籐の乳母車に、タンポポの綿毛をいっぱい乗せて、飛ばしていたのだ、もっと、もっと、遠くへ…と。今は夕凪のまどろみの中、あの綿毛よりも軽やかになったあなた。

連詩サイトに投稿した詩・4

永井ますみさんのサイト「山の街から」の連詩コーナーに投稿した詩。

「山の街から」↓

http://homepage3.nifty.com/yamanomati/



27.現代詩(はなびーる)
大海原に釣糸を投げ、言葉がひっかかるのを待っている。背中はいつも不安で寂しい。海を見ながら、海のことを何も知らない。波打ち際に遊ぶ。血を吐くまで深く潜る。ヨットで嵐を超えてゆく。何でもできる自由の前で足が竦むんだ。でも。そろそろ言葉を迎えに行かなくちゃ。


28.拡散(はなびーる)
「この紋所が目に入らぬか!」格さんが印籠をかざす。《善》も《悪》も等しくひれ伏し、暴力は鎮まる。牧歌的な時代劇だね。ピラミッドの国では、指導者のないデモ、拡散する扇動、拡散しっぱなしの不安、夜明け前の陣痛、流血!囀り共振する世界。イマココ、は地続きなんだ、否応なく。


29.夕霧(はなびーる)
幼馴染みの内気な貴方、一緒に童歌を歌う時は嬉しそうだった。正順さん、貴方に、この廓の苦海から連れ出して欲しかったのに、たった一人で死んでしまって。でも、私ももうすぐ終わる。血の色の百日紅が時を知らせる。息は苦しいけれど、仄暗い霧の向こうから貴方が呼んでいる。来世へと続く、産道が見える。
                       映画『五番町夕霧楼』(1963、1980)より


30.家路(はなびーる)
ひとりで歩く駅の裏。うら寂しい道、帰り道。学校で叱られた、おニューの服で立たされた、ランドセルがずしんと重い。横穴の古墳が見える。薄紫の闇、お化けがうごめく、もうだめ…「どしたの。」後ろから肩たたかれる。姉さん。ねえさんだあああ。急に走りたくなった、家まで競争だよ!「まてえ!」ちっちゃなランドセル弾ませて。来年は、もう一緒に帰れないね、姉さん。


31.牛(はなびーる)
小屋の片隅 犬と少年は日がな一日 牛のよだれを見上げていた ゆっくりと反芻される口から繰り出される糸・糸・糸…いっこうにとぎれなく 地球の裏側の赤い大地にも 牛はいると聞いた(犬に子供の守をまかせ 忙しい親は安心しきっていた) まどろみながら少年は とぎれない糸を長々とたどりたどって 地球の裏側へつきぬけていた もう戻る道はない そして犬だけが残された


32.米(はなびーる)
きゅっきゅ、きゅっきゅ。小鳥たちの囀りに似て。ざざざあ。戯れ掻き混ぜられる、輝く時粒。一粒もこぼさぬように、大切に。子らを纏わりつかせた日も、萎れた花を見つめていた日も。きゅっきゅ、ざざざあ。米を研ぐ音が、日日を生きるリズムを刻む。


34.沖縄(はなびーる)
♪沖縄よいとこ一度はめんそーれ、サァユイユイ♪柔らかな三線、弾む太鼓。ウチナー(沖縄)人と共に奏でる。「あなたとわたしは同じ日本人、だけど違う。」触れる場所と触れない場所、微妙な過去の襞。魂までコピーすれば許される。そんな言葉を信じて。ヤマト人とウチナー人が織り成す、チャンプルー(混ぜこぜ)の音。


35.音楽(はなびーる)
都会のオアシス、女性歌手は歌う。優しく透き通る声、地震の酔いより毅く、ビルの間を染みてゆく。天然のしずくの音に、わたしも染みてゆく、心ごと、体ごと。変わり果てた町々にも、傷ついた人々にも、祈りは、音となって、染みてゆくのだろうか。


36.絶妙(はなびーる)
もしも銀河の中心にいたら、光の坩堝でなにも見えない。宇宙の果ての暗黒なら、悩みなく凍りつくだけ。幸福?不幸?オリオンの腕に抱かれ、風と色彩と欲望の犇く星から、奇跡のように透き通る夜空に問う。わたし達の座標のない旅、何処へ・・・

推敲中の詩「黄色い粉・無色の罠」


 

 「黄色い粉・無色の罠」    岡本はな


雨の跡 ベランダの手すり うっすら積もる なぞる指

黄色い粉

 

これは ホウシャノウ? いえ ホウシャノウは色も臭

いもない だからこわいんです

 

くしゃみ十回 鼻水 悪寒 頭痛 目はイガイガ 涙

黄色い粉が悪さをする

 

マイクロ テラ シーベルト ベクレル ヨウソ セシ

ウム ストロンチウム よそよそしい言葉

 

毎日 頭の中 ぐるぐるする イライラ 諍い 不眠

黄色い粉、のせいじゃないよ

 

無色の罠にだまされた 

水が 土が 青菜が 魚が 牛が 人が そして夢が

 

棄てられた棄てられた棄てられた棄てられた棄てられた

棄てられた棄てられた棄てられて何万回も

 

苦い罪の水 棄てたくて 棄てられず 溜まり溜まって

何千トン何万トンも

 

無色の罠がしかけられた

まやかしの空? まやかしの海? まやかしの…

 

とほくの人が痛んでいる 苦しんでいる 泣いている

とほくにいて何も出来ず ただ 歩いている

 

ほんとうの空 ほんとうの海 ほんとうの夢をください

とり戻させてください ただ 歩いています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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